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大活字本だからといっても

『くらしっくミステリーワールド6 小酒井不木集』リブリオ出版・1997年2月28日発行

 リブリオ出版というところが企画した大活字本のシリーズに「くらしっくミステリーワールド」というのがあります。その第6巻が小酒井不木集。収録作品は「闘争」「恋愛曲線」「愚人の毒」「安死術」「人工心臓」の5篇です。このシリーズの監修は“おなじみ”中島河太郎先生で、各巻の解説も氏の筆によるもの。

「恋愛曲線」も書翰体であるが、恋に敗れた研究者が、自分の発明した恋愛曲線を勝利者に贈るという趣向である。一般の温血動物から人間に至るまで、心臓は身体を離れても独立して拡張、収縮の二運動をくり返す。心臓は動くたびに電気を発生するもので、その電気を研究するために電気心働計が考案され、それが恋愛曲線の製造元だという。  不木は医学者だけに考案の過程を縷々として記している。その辺は厄介だが、着想の奇抜さが結末の意外性を引きたてている。

「その辺は厄介」ってのはすごい解説文だな(笑)。また「人工心臓」については「人工的に心臓を造って、人類を各種の疾病から救って長生延命を計ろうとする発明に成功する過程を綿密に記述しているが分りにくい」ですとな。他の解説では、「神秘と科学との結合」と評して必ずしもその難解さを批判する感じではなかったのですが、実はあんまりお好きではなかったようです。

 大活字で総ルビだからといって子供向けに作ってある本というわけではなく、それこそご老人から視力の弱い方まで「見やすさ」のニーズに応える為の本ですから、中島先生も殊更「わかりやすく」にこだわっておられるわけではないでしょう。単純に、実はしちめんどくさい科学的描写はお好みに合わなくていらっしゃったのか、と思う次第。でも何だかんだ言いつつその“定番”2作品はちゃんと収めてしまうところが中島先生のいいところ、とかいって変なまとめ。

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