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昭和 二万日の全記録 第1巻:昭和への期待(昭和元年~3年)

平成元年6月20日第1刷発行 定価2880円(税込)
講談社
編集委員:原田勝正 尾崎秀樹 松下圭一、三國一朗

 巻頭のカラーページ「花ひらく挿絵の世界」の見開き中央にどかーんと、小酒井不木の「大雷雨夜の殺人」(『講談倶楽部』昭和3年2月号)口絵が紹介されております。画家は樺島勝一。「探偵柏桂五郎はカフェーの女給お千穂に写真の人物をたずねる。」とキャプションがあります。

 ところが、本文の「「大衆文学」、黄金時代へ」の方には小酒井不木の名前は全然出てきません。なーんだ、樺島勝一の挿絵にしか用がなかったのね。
 それにしても『大衆文芸』と二十一日会に触れている部分でも、

会員には、白井のほか、国枝史郎、平山芦江、長谷川伸、江戸川乱歩、直木三十三(のち三十五)、土師清二らがいた。

と、何故か後年の耽綺社メンバー6人のうち5人まで紹介されているのに、よりによってリーダーの不木だけが抜けているという有様。わざとか。いじめか。
 おまけに『新青年』についての解説ですらこうです。

大正末期からの大衆社会が生み出した都市的な消費文化を体現したこの雑誌は、大衆文学を大衆文学たらしめるひとつの重要な試みを行った。懸賞小説、つまり読者参加の試みである。そして、このなかから、横溝正史、水谷準、大下宇陀児、小栗虫太郎といったすぐれた作家が誕生した。また、この雑誌によって世に送り出された作家には、甲賀三郎、海野十三、浜尾四郎、久生十蘭などがおり、冒頭に述べた谷譲次もその一人だった。

 江戸川乱歩は別格として語られてるからここに名前が無くてもいいけど、誰か大事な人間を忘れちゃいませんか。いえいえ、森下雨村ではなく。いえいえ、久山秀子でもなく。
 というか、探偵小説サイドのよほど特殊な側面から眺めないと、小酒井不木の業績というのは映らないものなんでしょうか。
(記 2003/8/4)

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