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自意識と通俗―小酒井不木を軸に―

「自意識と通俗―小酒井不木を軸に―」浜田雄介(『日本近代文学』第51集・1994年10月15日発行)

 珍しく学術論文に取り上げられた小酒井不木。長篇「疑問の黒枠」が指向する探偵小説「通俗化」の方法論、作者にとっての他者性を保証する自意識とその呪縛、その地点から脱却すべく「個性の解放」として試みられた合作。そして小酒井不木の死、耽綺社以後。
 題目の通り、小酒井不木という一人の作家を軸に論が進められて行くが、論じられる対象とされているのは作家個人に限定されているわけではなくむしろ、探偵小説という文学ジャンル全体の問題である。作家個人の自意識という問題から、作家・読者間での物語の享受の問題、「私」からの解放と異分子の集合体としての合作組織、可能性としての大衆社会における新しい小説構築のシステム……。決して長くないが、個人からメディアの問題にまで至る、実に幅広く示唆に富んだ論考。
(記 2002/1/16)

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