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「奈落の井戸」更新情報:「学者気質(四)」

 引き続き「学者気質」の翻刻に取りかかっています。

「学者気質(四) 想像力(2)」(『東京日日新聞』大正10年9月9日)

 ここでは「想像力」がもたらした成果としてポオの「マリー・ロジェの謎」を例に挙げつつ、科学者はもっと探偵小説に倣うといいんじゃね、みたいなことを言ってます。
 まあ、それだけだったらただのミステリヲタの科学者、で終わりだと思うんですが、物事を疑ってかかる点は同じでも、人間社会の裏を覗く後ろめたさがつきものなのが探偵の仕事、自然に隠された秘密を暴いて大きな喜びを得られるのが自然科学者の仕事、と、ちゃんとその差違を明確に主張していますね。

 これからその価値を高めようとしていた探偵小説にとって、狭量なファン心理を飛び越えたこういう常識人の視点での応援は、非常に貴重だったんじゃないでしょうか。

 そして翌日、『新青年』編集長・森下雨村が小酒井不木を知るきっかけとなる、「探偵小説」の項が掲載されることになります。江戸川乱歩の「二銭銅貨」ほどの衝撃はないにせよ、こちらもまた、日本探偵小説草創期において記憶されて然るべき文章。

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