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「名人に乏し」(『春秋』昭和3年1月号)

 先日のトーク&ディスカッション「『新青年』の作家たち」&「大乱歩展」開幕記念大宴会の折に、藤原正明さんから資料のコピーを頂戴致しました。『小酒井不木全集』第12巻に収録されていながら、初出誌が不明だったエッセイです。
 藤原さんには謹んで御礼申し上げます。

 内容ですが、義太夫好きの中江兆民の言葉を例に出し、そこからさまざまな分野での「天才」出現を待望する、という話。
 当時の「大衆文芸」勃興については自分もそれなりに荷担しておきながら、「一種の変態現象といへば言ひ得る」ものという感想で、「若し現代を取り扱つた小説で、同じやうな感激を与ふるものが出るならば、自然その流行はすたるに違ひない」という不木の冷めたスタンスはちょっと面白いと思います。21世紀の今に至っても時代小説ブームは無くなっていませんよ、とお知らせしたら不木はどう思うかね。

 そしてもう一つ「大衆文芸」の懐古趣味と並んで不木がネガティブに捉えているのが「俳句」。俳句好きの不木にしてこの見解、とこちらもなかなか面白い。不木の趣味、というか物の考え方のベースにはやっぱり社会進化論的な何かがあるんじゃないでしょうか。そして世界がさらなる進化を遂げるためには「一人の芭蕉の問題」じゃないけど「天才」の力が不可欠だ、というような認識が。

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