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「奈落の井戸」更新情報



 久しぶりに小酒井不木の短篇を収録したアンソロジーが出ました。
 くもん出版の「読書がたのしくなるニッポンの文学」というシリーズの1冊、『ようこそ、冒険の国へ!』というその名の通り冒険小説をテーマにした書籍なんですが、ミステリ代表みたいな形で小酒井不木の「頭蓋骨の秘密」が選ばれています。ちなみにその他の収録作品はというと、海野十三「恐竜艇の冒険」、芥川龍之介「トロッコ」、押川春浪「幽霊小家」。

 まあ喜ばしい話なんですが、これはちょっと具合が悪くないか、という点もあります。作品に付された作者紹介なんですが。

医学を学んだ作者は、三十一歳のとき、科学読み物やエッセイ、翻訳などの文章を書き始めます。そこに起こったのが、一九二三年九月一日の関東大震災でした。おりから病気療養中の作者は、病状悪化のため、翌月、名古屋に家を新築し、転居します。現代でもそうですが、地震などの天災は、被災した人々の心と生活に大きな影響をおよぼします。作者の震災体験は、本作にも影響をおよぼしているかもしれません。本書に収録したのは、「少年科学探偵」シリーズ第四作の全文と、第一作「紅色ダイヤ」の冒頭部分です。

 この書き方だと、あたかも不木が関東大震災で被災して、病気が重くなったために名古屋に移り住んだように思われてしまいますがそうじゃありません。名古屋の近く、神守村というところの嫁さんの実家で療養生活を送っていたのが、名古屋に家を構えて引っ越した、というだけですから、関東大震災は直接関係無い。作品にだって「震災体験」やその影響なんて見えやしません。

 これを書いた方は何で無理矢理震災と関連づけようとしたんですかね? そりゃ確かに、被災しようがしまいが、あの時代に生きていた人全てに何らかの「影響」を及ぼした大事件だったろうとは思いますけども。

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