「紅蜘蛛綺譚」「龍門党異聞」上演プログラムその他情報

 日本芸術文化振興会ウェブサイトを通じて検索出来る、国立劇場所蔵資料。小酒井不木の戯曲作品が上演された際のプログラム、舞台脚本が収められているのでざっと紹介する。


東西新派大合同劇御名残り狂言
新守座(名古屋) 昭和2年1月15日-
内容:鴎:情話劇/中井苔杭作 紅蜘蛛奇譚:探偵秘話/小酒井不木作 蔦松葉のお葉/瀬戸英一作

東西新派大合同劇
八千代座(楠公前) 昭和2年2月1日-
内容:鴎:情話劇/中井苔抗作 紅蜘蛛奇譚:探偵秘話/小酒井不木作 馬賊芸者/音羽六藏作

東西新派合同劇:昭和二年二月興行
浪花座 昭和2年2月19日-26日
内容:浅草寺境内/眞山青果作 紅蜘蛛奇譚:探偵秘話/小酒井不木作 馬賊芸者/音羽六藏作

河合武雄、伊井蓉峰合同劇筋書
帝国劇場 昭和2年5月21日-30日
内容:龍門党異聞/小酒井不木作 恋の受難/平野止夫原作、三木葉一郎脚色 都島原/澤田撫松原作、眞山青果脚色

特別興行 河合武雄、伊井蓉峰合同劇
道頓堀・中座 昭和2年6月5日-19日
内容:龍門党異聞/小酒井不木作 時の氏神/菊池寛作 都島原/澤田撫松作、眞山青果脚色 証拠/関口次郎作

河合武雄、伊井蓉峰合同劇:帝劇女優村田嘉久子・河村菊江・特別加入出演
八千代座(楠公前) 昭和2年6月20日-24日
内容:龍門党異聞/小酒井不木作 時の氏神/菊池寛作 都島原/澤田撫松作、眞山青果脚色 証拠/関口次郎作

河合武雄、喜多村緑郎合同劇:本郷座九月興行
本郷座 昭和2年9月3日
内容:紅蜘蛛奇譚/小酒井不木作 黒牡丹社/南惠三原作、音羽六藏脚色 新四谷怪談/瀬戸英一作


 人名の漢字がレコードによって異なっているし、「紅蜘蛛奇譚」は「綺」の字を使っているのではないかと思われるが、とりあえず確認出来るまでは参照したデータをそのまま記載しておく。「龍門党異聞」台本の書誌データは下記の通り。


龍門党異聞:全3幕7場/小酒井不木作
88丁;24cm


 所蔵データの存在については浦部圭さんから教えて頂いた。

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『ロ・ヲ・ド・ク』

『ロ・ヲ・ド・ク』

 北海道文化放送の深夜番組。アナウンサーによる文学作品の朗読で、2004年6月2日(水)の放送では、小酒井不木「死体蝋燭」が取り上げられたそうだ。
(情報提供:浦部圭様)

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(翻刻)壁 / 大倉燁子

 A青年の眼といつたら、若い女達の間では評判だつた。にごりのない、清らかに澄んだ殊に右眼が素晴らしく美しい。
 彼に召集命令が来た時、一番心配したのはS嬢だつた。彼女は弾丸除けのお守護札というのを受けついでに霊媒に彼の運勢をみてもらつた。
「長命ですよ。召集は免れます」
といつた。
 S嬢は霊媒なんかに頼ろうとしたのを恥ぢた。
 笑はれるのを承知で、彼にお札を渡すと
「こんなもので弾丸が除けられるなら戦死者は一人もいなくなる。僕はもつと、もつと、確実なものを持つているから、戦争にはゆかにず(原文ママ)すむと思ふ」
「確実なものツて?」
「それは僕の秘密だ、君にだつて話せないよ」
 果して、彼は一週間後に召集解除となつて帰つて来た。
 どういふ理由で解除になつたのか、そんなことを詮議する必要はなかつた。彼女はただ彼が戦争にいつてくれさへしなければ嬉しかつた。
 ある日、彼は左眼に眼帯をしてステツキをつきながら、彼女を訪問した。
「眼に塵が入つてね、それをこすつたら結膜炎を起した」と悲しそうにいつた。
 彼が帰る時は、一足おくれた彼女は、両手で探ぐりながら家守のやうに壁に取りついて、危ぶなツかしい足どりでそろりゝゝゝと二階の階段を降りて行く彼を見た。
「まるで、お盲目さんのやうねオホヽヽ」冗談のつもりでいつたのを、彼はぶるツと体を震るはせたかと思ふと
「何? めくら? めくらだつたらどうする?」
 と平き直つた。彼女はハツとした。そして始めて確実なものといふ意味が解つた。彼の美しい右眼は義眼だつたのだ。

初出:『探偵新聞 第35号』 昭和23年8月15日

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少年科学探偵

 本日は戦前に活躍した探偵小説作家、小酒井不木の124歳のお誕生日です。わー、ぱちぱち。
 そんなわけでさっそくですが、彼の業績の一端を紹介させてもらいましょう。昨年、9年ぶりに新刊が出たこともあって再評価の機運高まる、いや高まって欲しい「少年科学探偵」こと塚原俊夫君です。

Toshio20130810

 真珠書房より刊行された「パール文庫」の1冊、『少年科学探偵』表紙より。左の白衣の少年が俊夫君で、右のチャラい感じのは助手の大野青年。戦前の小学生なのに髪染めてシャギーかよ。眉細いな。コイツ絶対カラコン入れてる。などという無粋なツッコミはおいておくとして、この表紙イラストは田城ひとみ(代々木アニメーション学院)という方の作品です。いいですね。中身は古めかしい探偵小説ですが、表紙はいわゆるライトノベルって感じにしてとっつきやすさを狙ってますね。

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(翻刻)法律的に見た落語(六) / 浜尾四郎

 以前私は、詐欺の話の起源が何処にあるかといふ事を研究すべき必要を感じて、種々本(原文ママ)読で見た。私は文学者でないので、詳しい事は云へないが、西鶴あたりの話でも、どうも支那の話を取つたのが大分あるらしい。早桶屋などといふ話も、其の趣向は支那の話にもあるし、又西洋の探偵小説家の話にも非常に能く似たのがある。本家本元が何処であるか又偶然の一致であるか、その辺は能く分らないが、兎に角詐欺の方法としては巧妙なやり方だと云へやう。

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参考文献/資料集1979(昭和54)年

「参考文献/資料集 1979(昭和54)年」

 友人の浦部圭さんから送って頂いた新聞記事コピーを参照し、「参考文献/資料集」コンテンツを更新しました。今回更新した分の資料、お手紙の日にちが2006年。いやホント、これでは情報提供する方も全然張り合いがないってもので、お恥ずかしい限りです。

 浦部さんといえば名古屋近代文学史研究会で、『学林』という校友会雑誌の記事を丹念に読み込んで「小酒井不木の中学時代」という、私が言うのもアレだけど相当ひねくれた視点から小酒井不木を研究対象にした面白い論考を書いておられました。お元気かなあ。

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「数学者ド・ラニーの臨終」

 小酒井不木研究サイト「奈落の井戸」、9ヶ月ぶりに更新しましたよ。

 こんな世界に一人しか研究者のいないようなマイナー作家の情報をわざわざ教えて下さる奇特な方が何人もいらっしゃって、資料のコピーを送って下さったり、書誌情報をメールして下さったりするわけですが、当の研究者本人が対象そっちのけでブラジリアン柔術にハマって、暇さえあれば腕立てやったり、テクニック動画を鑑賞したりしてるもんだから、ほとんど放置といっていい状態と相成りました。ホントに皆様、お詫び申し上げます。

 さて、今回の更新ですが、黒田明さんからコピーを頂戴した「数学者ド・ラニーの臨終」を翻刻してみました。『キング』昭和4年6月号に発表された、単行本未収録の極々短い小品です。不木は昭和4年の4月1日に亡くなっており、この時期の雑誌にはいくつか「絶筆」と称されるこうした小品が掲載されましたが、そのうちの一つですね。実際に死期が迫った時期に書かれたものか、それともだいぶ前に書かれた未発表原稿をたまたまここで掲載したものか判断しかねますが、他人の死に様について書いた内容の文章が自分の絶筆になって発表されるってどんな気分かなー、と、この手の作品を翻刻するたびに思いますね。

 黒田さん、いつもありがとうございます。

「数学者ド・ラニーの臨終」

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『大倉燁子探偵小説選』

『大倉燁子探偵小説選』

論創ミステリ叢書49 『大倉燁子探偵小説選』 論創社 2011年4月30日初版第1刷発行 定価3200円(税別)

(創作篇)
妖影
消えた霊媒女(ミヂアム)
情鬼
蛇性の執念
鉄の処女
機密の魅惑
耳香水
むかでの跫音
黒猫十三(とみ)
鳩つかひ
梟の眼
青い風呂敷包
美人鷹匠
深夜の客
鷺娘
魂の喘ぎ
和製椿姫
あの顔
魔性の女
恐怖の幻兵団員

(随筆篇)
心霊の抱く金塊
素晴しい記念品
蘭郁二郎氏の処女作――「夢鬼」を読みて――
今年の抱負
最初の印象
アンケート

「解題」横井司


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第58回日本推理作家協会賞発表

「参考文献/資料集 2005(平成17)年」

『オール読物』平成17年7月号に掲載された選評。小酒井不木関連データの中で、せつない思い出と結びついているものといえばこれだ。

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「小酒井不木の外国語学習法」

手塚竜磨「同志社英学校と東京の私学」
速川和男「小酒井不木の外国語学習法」

『日本英学史研究会 研究報告』 第95号
第4回日本英学史研究大会 於 京都同志社大学 1968・5・18(土)・19(日)

 ちょっと珍しい小酒井不木の文献資料を入手。日本英学史研究会(現・日本英学史学会)の研究冊子みたいなものらしい。全11ページの謄写版。

「小酒井不木の外国語学習法」は、簡単にまとめれば、『小酒井不木全集』に収録されている文献から小酒井不木が外国語の学習について書いた記述を大まかに浚って紹介した、という内容。医学・犯罪学をはじめ、外国文学、探偵小説に博識なところをみせる小酒井不木博士が、どうやって語学を学んで外国の文化を吸収したのか、というのが筆者の興味のあるところだったようだが、内容の深みという点ではどうも今イチ。結局、不木の随筆なんかをただ引用しているだけで裏付けや資料的な深まりが全然無い。
 また、同時代の外国語学習、他の学生との比較などの視点も一切無いので、結論部に「小酒井不木の外国語学習法は極めて常識的なものかはしらないが」と筆者自ら書かなくてはならない有様。発表うまくいったのかな? と心配さえしてしまうよ。

 とはいえ、40年以上前の、しかも「英学史」なんてジャンルの研究報告に小酒井不木を取り上げてくれていた、という事実は非常に面白い。

(参考)「日本英学史学会」

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